シングルマザーでも住宅ローンを借りる方法と審査のポイント

住宅ローン

近年では、未婚の母や離婚・別居によって、一人で仕事と子育てを両立するシングルマザーが増加しています。そのような状況の中で、「マイホームの購入は難しいのではないか」と考える方も少なくありません。

しかし、安心してください。住宅ローン審査のポイントを理解することで、シングルマザーでも住宅ローンを借りてマイホームを手に入れることは十分可能です。この記事では、シングルマザーが住宅ローンを借りる際のポイントや、年収に基づく借入限度額の目安などについて詳しくご紹介します。

シングルマザーが住宅ローンを利用する際の基本情報

シングルマザー(母子世帯)の住居所有状況

シングルマザーとしての生活は多くの挑戦を伴いますが、その中でも住まいの確保は重要な課題の一つです。

厚生労働省が発表した「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」の調査によると、日本全国でのひとり親世帯数のうち、母子世帯は119.5万世帯、父子世帯は14.9万世帯です。これを基に計算すると、母子世帯は、ひとり親世帯全体の約88.93%を占めています。
さらに、この調査によると、母子世帯の住居所有率は約29.7%で、多くのシングルマザーが賃貸住宅に住んでいることがわかります。

母子世帯の母の就業状況についても同じ調査で明らかになっています。約86.3%の母が何らかの形で就業しており、そのうちの約48.8%が正社員として働いています。これらの数値からも、シングルマザーが経済的に自立しているケースが多いことが分かります。

住宅ローン審査における性別や家庭状況の影響

住宅ローンの審査において、性別や家庭状況が直接的に影響を与えることはありません。銀行や金融機関は、主に申込者の収入状況、信用履歴、返済能力を重視します。シングルマザーであっても、これらの条件を満たしていれば、住宅ローンの審査に通過する可能性は十分にあります。
例えば、厚生労働省のデータからも明らかであるように、多くのシングルマザーが就業しており、安定した収入を得ています。これに加えて、しっかりとした返済プランを持っていることが重要です。家庭状況が審査を妨げることはなく、むしろ、きちんとした計画と収入があれば、銀行は住宅ローンの提供に前向きです。

安定した収入状況や返済プランが重要

住宅ローン審査で最も重要視されるのは、安定した収入と現実的な返済プランです。シングルマザーであるかどうかに関わらず、以下のポイントに注意することが求められます。

安定した収入
毎月の収入が安定していることは、住宅ローン審査において非常に重要です。正社員としての雇用や長期間の勤続年数は、収入の安定性を示す指標となります。

返済比率の管理
収入に対する返済額の割合が適切であることも重要です。一般的には、年間の返済額が年収の30%以下であることが望ましいとされています。

クレジットヒストリーの確認
クレジットカードや他のローンの返済履歴も重要な要素です。過去に遅延や未払いがないことを確認し、良好な信用履歴を保つことが審査に有利です。

預貯金の有無
住宅ローンの頭金や不測の事態に備えた預貯金があることも、返済能力の証明となります。
これらの要素をしっかりと満たしていることで、シングルマザーであっても住宅ローンの審査に通過しやすくなります。

シングルマザーが住宅ローンを借りるための収入要件

シングルマザーが住宅ローンの審査に通るためには、各金融機関が設定している年収基準を満たすことが必要です。具体的な年収額は金融機関によって異なりますが、一般的には年収300万円以上が目安とされています。

一部のネット銀行では、年収が100万円でも住宅ローンを組むことが可能な商品を提供しています。

また、住宅ローンの初期費用の目安として、物件価格の約6%から10%程度が必要とされています。具体的には、次のような費用が含まれます:

  • 頭金: 物件価格の10%から20%
  • 手数料: ローンの事務手数料、登記費用など
  • 保険料: 火災保険や地震保険など
  • 税金: 不動産取得税、登録免許税など

例えば、物件価格が3000万円の場合、約180万円から300万円の初期費用を見積もっておくと良いでしょう。

年収に応じた借入限度額の目安

住宅ローンの借入額を増やすことで購入予算を上げられますが、同じ年収でも子どもの人数や親の介護、車の購入などで返済可能額は異なります。無理なく返済できる金額から借入額を決めるべきです。

借入限度額を決める際の目安として返済負担率があり、これは年収に対する年間返済額の割合です。住宅ローンでは年収の30~35%が無理のない返済額の目安とされます。景気変動や転職による年収減少を考慮し、返済負担率は年収の30%以内に抑えるのが理想です。

例えば、年収が400万円の場合、返済負担率30%で算出すると、年間返済額は120万円、月々の返済額は10万円となります。最長35年ローンを組んだ場合の借入限度額は約4200万円です。ただし、返済負担率には住宅ローン以外のカードローンや教育ローンの返済額も含まれるため、全てのローンを考慮して借入限度額を設定します。

シングルマザーが住宅ローン審査に通るためのポイント

シングルマザーが住宅ローンを受けるためには、仮審査と本審査の両方を通過する必要があります。審査項目にはさまざまな項目があり、金融機関が提示する基準を満たすことが求められます。以下に、審査を通過するためのポイントをまとめました。

1. 勤続年数と収入の安定性

住宅ローン審査で重要視されるのは、勤続年数と年収です。一般的には、勤続年数が2年以上、年収が300万円以上が基準とされています。これらの基準を満たしていない場合、審査に通る可能性は低くなります。勤続年数が短い場合は、現在の職場での勤務期間を延ばすか、収入を増やす方法を考えることが必要です。

2. 信用情報の確認と改善

過去にクレジットカードや他のローンで支払いの延滞がある場合、住宅ローンの審査に悪影響を及ぼします。金融機関は信用情報機関を通じて、申込者の信用履歴を確認します。支払いの遅延や未払いが記録されていると、審査に通るのは難しくなります。信用情報に問題がないか事前に確認し、問題がある場合はそれを解決することが重要です。

3. 他のローンの残高を減らす

住宅ローン審査において、他のローンの残高が多いと返済能力に疑問が持たれ、審査に通りにくくなります。クレジットカードのキャッシングやリボ払い、教育ローンなどの残高がある場合、それらを減らすか完済することが望ましいです。他のローンの返済状況を見直し、可能な限り負債を減らしておくことが重要です。

4. 頭金の準備

頭金を準備することも、審査において有利に働きます。一般的に、物件価格の10%から20%程度の頭金を用意することが理想とされます。頭金が多ければ多いほど、金融機関からの信頼度が高まり、審査に通りやすくなります。貯金を計画的に増やし、頭金をしっかりと準備しましょう。

5. 返済計画の立案

無理のない返済計画を立てることも重要です。返済負担率を年収の30%以内に抑えることが推奨されており、年収に対して適切な借入額を設定することが必要です。たとえば、年収が400万円の場合、返済負担率30%で算出すると、年間の返済額は約120万円、月々の返済額は約10万円となります。これを基に返済計画を立て、無理なく返済できる金額で住宅ローンを申し込むことが大切です。

無理のない返済計画と自己資金の準備も大切

返済負担率が30%でも、借入限度額いっぱいでローンを組むと、病気や事故などの予期せぬ出費に対応できなくなる恐れがあります。毎月の返済額は余裕を持たせ、老後の貯蓄を考慮して貯金額を引いた返済額に設定しましょう。
住宅ローンは長期の返済が必要です。まとまった自己資金がある場合は、それを頭金に充てて返済負担を軽減しましょう。

住宅ローンにおける児童扶養手当の影響とは?


児童扶養手当は住宅ローンを組むこと自体には影響しません。ただし、新居で他の人と同居するなど生活が変わると受給資格を失う可能性があります。また、夫が住宅ローンを支払っている家に妻と子どもが住む場合、「費用の援助を受けている」と見なされ、手当が受け取れないことがあります。児童扶養手当には所得制限があり、その計算には養育費の8割相当額が加算される点にも注意が必要です。

ひとり親世帯が活用できる主な税制には以下のようなものがあります。

  • 寡婦(夫)控除
  • ひとり親控除

順番に解説します。

寡婦(夫)控除

寡婦控除は、配偶者と死別、離婚、または婚姻の実態がないひとり親に対して適用される所得控除です。一般の寡婦は27万円、特別の寡婦は35万円の控除が受けられます。

対象: 配偶者と死別、離婚、または婚姻の実態がない女性
要件:
  • 合計所得金額が500万円以下
  • 扶養親族がいる、または生計を一にする子がいる場合
控除額:
  • 一般寡婦控除: 27万円
  • 特別の寡婦控除: 35万円

(参考)国税庁|寡婦控除

ひとり親控除

未婚や離婚などによりひとりで子どもを養育する親に適用され、35万円の控除が受けられます。所得制限は500万円以下、事実上の婚姻関係がないことが条件です。

対象: 未婚、離婚、死別により子どもを養育するひとり親
要件:
  • 生計を一にする子がいること(子の総所得金額が48万円以下)
  • 事実上の婚姻関係がないこと
  • 合計所得金額が500万円以下
控除額: 35万円

(参考)国税庁|ひとり親控除

ひとり親控除と寡婦控除は併用できません。どちらか一方を選択して適用する必要があります。

シングルマザーが住宅ローンを借りる際の注意点

シングルマザーが住宅ローンや不動産購入で失敗しないためには、以下の4つのポイントに注意することが重要です。

1. 無理のない返済計画を組む

現在、住宅ローンの金利は低水準ですが、将来的に金利が上昇する可能性があります。また、子どもの成長に伴い出費も増えるため、年収に見合わない物件を選んだり、余裕のない返済比率でローンを組むのは避けましょう。
シミュレーションを行い、毎月の返済額が生活を圧迫しないように計画を立てましょう。

2. 物件購入時にかかる金額を把握する

物件購入時には、借入額が大きいほど毎月の返済額も増えます。自己資金を用意し、毎月の返済額を減らすことが理想です。
物件価格の10%程度の頭金を準備し、ローン以外の諸経費も考慮に入れましょう。事前に総費用を把握し、予算内で計画を立てることが重要です。

3. ライフスタイルに合った物件を選ぶ

シングルマザーの生活は忙しいため、職場や保育園、学校などの立地が重要です。また、キッチンや浴室の設備を整えることで、家事の時短が可能になります。広すぎる家は子どもが独立した後に持て余すことがあるため、将来のライフスタイルを見据えて物件を選びましょう。

4. 売却しやすい物件を選ぶ

将来的に再婚や引越しをする可能性も考慮し、売却しやすい物件を選ぶことが大切です。例えば、一戸建ての注文住宅は資産価値が20年で減少しますが、条件の良いマンションは価値が落ちにくく、購入価格に近い金額で売却できることもあります。将来的な変化に備え、戸建てかマンションかを慎重に検討しましょう。

まとめ

シングルマザーが住宅ローンを組む際には、無理のない返済計画や物件選び、将来のライフスタイルを考慮することが重要です。自己資金をしっかり準備し、売却しやすい物件を選ぶことで、安心してマイホーム購入を進められます。

国が提供する税制優遇を活用することで、経済的負担を軽減しながら理想の住まいを手に入れましょう。未来に向けて前向きな計画を立て、夢のマイホームを実現してください。

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