地番と家屋番号についての詳細解説

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不動産相続や売買などの取引において、「地番」と「家屋番号」は重要な要素です。
この記事では、「地番」と「家屋番号」の定義、その役割、そして住所との違いについて詳しく説明します。

地番について

地番は法務局によって土地を特定するために割り当てられる番号です。各土地の単位は「筆」と称され、一つの筆に対して一つの地番が付与されます。

地番は、地番区域内で一つずつ連番で割り当てられ、「〇〇町」や「△△一丁目」など市町村内の特定の区画を表します。これは地番を効率的に管理し、数が増えすぎて扱いにくくなるのを防ぐためです。

地番は土地を区別するために設けられる番号で、土地の分割や統合によって変更が生じることがあります。

分筆とは、土地を売却したり、相続によって分けたりする際に、一つの土地を複数に分割する行為を指します。これにより新たな土地(筆)が生まれ、既存の地番に新しい枝番が加えられます。例えば、地番「7番」の土地を2つに分割すると、「7番1」と「7番2」という形で新しい地番が割り当てられます。

また、すでに枝番が存在する「11番3」の土地をさらに分筆する場合、元の「11番3」と新しく「11番4」として区別されます。

一方で、合筆とは、複数の土地をひとつにまとめることを指し、この過程で最も小さい地番が保持されることが一般的です。

住所、地番、住宅番号の相違点

住所は、人が生活する拠点を指す言葉であり、民法第22条により「各人の生活の本拠とする場所」と定義されています。これは、郵便や宅配サービスで使用されるなど、個人の居場所を識別するために重要です。

地番と住居表示は、住所を特定するための二つの主要な方法です。もともとは地番を用いて住所を表していたが、1962年に「住居表示に関する法律」が制定されて以降、指定された区域では住居表示を用いることが一般的になりました。

住居表示区域内での住所表記は、「〇〇町一丁目1番1号」の形式で行われます。ここでの丁目番号は正式には漢数字で記述されますが、日常では「〇〇町1-1-1」といった形で簡略化して使われることがよくあります。
住居表示は具体的な住所を示す目的で用いられるため、以前に何も建っていなかった土地には住居表示が設定されていません。新たに建物を建設する際には、市町村に対して住居表示番号の付与を申請する必要があります。その後、市町村の担当者が現場を訪れ、建物を検査した上で住居表示を割り当てます。
住居表示区域が市町村の全域に適用されているわけではないため、住居表示区域外の地域では依然として地番を用いた住所表示が行われています。これらの地域では、正式な住所は「△△町(大字)110番地50」という形で記されますが、日常的には「大字」と「番地」を略して「△△町110-50」と表記されることが一般的です。

住所に付いていることがある「大字」という用語は、明治時代以前の村や町の名称を引き継いだもので、地番を使用する地域では今日もこの表記が用いられています。

現在、住所の表記には「住居表示」を用いる地域と「地番」に基づく地域の二つが存在します。住居表示が適用されているかどうかは、市町村役所で確認することができますし、住所に「〇丁目」が含まれていれば、それが住居表示区域であることを示唆しています。

宅地が複数の筆から成る場合でも、住所として使用される地番や住居表示は一つに限られます。しかし、土地の分筆や合筆が行われると、地番と実際の住所が一致しなくなることがあります。
区画整理が施された地域では、既存の地番が廃止され、新しい地番が割り当てられます。建物が建築されると、多くのケースで住居表示と地番は同一の番号を採用することが一般的です。

出典:民法|e-Gov法令検索
住居表示に関する法律|e-Gov法令検索

家屋番号について

家屋番号は、個々の建物を区別するために割り当てられるユニークな番号です。建物が建設された際には、その特性を表す表題登記がなされ、建物のタイプ、構造、床面積などが記載されます。このプロセスの一環として、法務局は各建物に対して家屋番号を割り振ります。

この番号は通常「1212番」のように表されますが、同一の土地に複数の建物が存在する場合は、「1212番1」、「1212番2」という風に、各建物に個別の枝番を追加して区別します。これにより、複数の建物があってもそれぞれを明確に識別することが可能になります。

また、同じ土地上で建物が建て替えられた際にも、新築された建物には新たな家屋番号が割り当てられます。
元々、家屋番号は地番と一致する番号が使用されていました。
しかし、土地の分筆や合筆によって地番が変更される場合があり家屋番号は変更されずにそのまま保持されるため、地番と家屋番号が異なるケースがしばしば生じます。

分譲マンションの家屋番号について

分譲マンションでは、一つの建物内に複数の住戸が存在し、住戸ごとに独自の家屋番号が割り振られます。

この際、分譲マンションの住戸では、部屋番号が家屋番号として利用されることが一般的です。
例えば、〇〇町12番3の地番に建っている分譲マンションの201号室と1111号室は、それぞれ異なる家屋番号を持っており、これにより各住戸を明確に識別することが可能です。

住所を記述する際には、マンション名を含めるのが一般的ですが、登記の際にはマンション名は記載されません。そのため、特定のマンションを明確に識別するには、地番と家屋番号の両方を確認する必要があります。

なお、古いマンションでは部屋番号が家屋番号として用いられていないこともあります。このため、マンションの築年数にかかわらず、正確な家屋番号の確認が大切です。

地番と家屋番号の重要な役割

不動産取引では、地番と家屋番号が重要な役割を果たします。

地番は個々の土地区画に、家屋番号は建物単位(分譲マンションの場合は各住戸に)割り当てられており、これらを通じて不動産の所有権が明確に示されます。これにより、取引される不動産が正確に特定されることを保証します。

住居表示がされている地域であっても、不動産取引に際しては地番と家屋番号の参照が一般的です。

さらに、自治体が固定資産税などの税金を課する際には、地番と家屋番号が重要な役割を担います。これらは課税される不動産の特定に使用されるからです。

不動産登記における地番・家屋番号

不動産登記における地番・家屋番号

不動産の登記をすると、地番や家屋番号が登記記録に記載されます。

住宅の購入や建物を新築した際には、不動産の登記が必要になります。この登記を通じて、所有権の存在を第三者に対して確実に主張することが可能になります。これは「不動産登記の対抗力」として知られています。

登記手続きを完了すると、所有者の名前が土地の地番や建物の家屋番号と共に登記簿に記録されます。

不動産の登記は個人でも行うことができますが、多くの場合、司法書士や土地家屋調査士の専門家に依頼されることが一般的です。

司法書士は、所有権移転登記や初めての所有権登記、抵当権設定登記などを担当し、土地家屋調査士は不動産の物理的詳細を明記する表題登記を行います。いずれの専門家も、必要に応じて適切な手続きを支援するために連携します。

地番、家屋番号の調べ方

自宅の権利証や登記識別情報をチェック

不動産の所有者は、自宅に保管されている権利証や登記識別情報を通じて、所有する不動産の詳細を確認することができます。

固定資産税の納税通知書から確認

1月1日時点で不動産を所有している方には自治体から固定資産税の納税通知書が届きます。

この通知書に添付されている土地・家屋課税明細書には、地番と家屋番号が記されています。

法務局で登記事項証明書を取得

以前は紙の登記簿により法務局で不動産の登記内容が管理されていましたが、2008年に全面的なデジタル化が完了し、現在は登記記録がデジタルデータとして管理されています。

このデジタル化された登記記録を印刷した文書が登記事項証明書です。

法務局に電話で問い合わせる

法務局には電話での問い合わせも可能で、所在地を伝えれば地番や家屋番号の情報を提供してもらえます。ただし、建物がまだ登記されていない場合は家屋番号は存在しません。

オンライン上の「登記情報提供サービス」に登録すれば、地番検索機能を使って地番が示された地図を確認できます。

不動産取引時における家屋番号の留意点

建物の特定には家屋番号が必須

地番が同一である土地上に複数の建物が存在する場合、家屋番号を把握していなければ、取引対象の建物を明確にすることが困難です。

例えば、複数の建物がある大きな土地で借地権付きの建物を取引する際、地番のみでは特定の建物を識別できません。
各建物に割り振られた家屋番号によって、取引する特定の建物を明らかにすることが可能になります。

建物の建て替えが行われた場合でも、旧建物の滅失登記が行われていないと、その家屋番号は引き続き登記された状態です。

その結果、登記簿上では新旧両方の建物が存在していると見なされ、固定資産税が2棟分課税される事態も発生します。

このような状況を避けるため、解体された建物については適切に滅失登記を行う必要があります。

家屋番号がない建物は売買できない可能性も

建物が存在しても、その建物が正式に登記されていない場合は家屋番号を持っていません。
未登記の建物の取引は基本的に可能ですが、買主の同意が必要になります。
買主が銀行からの住宅ローンを利用して購入を検討している場合、未登記の建物は担保として認められないため、ローンの借入れが不可能になります。これにより、取引自体が行えなくなることがあります。
ですので、買主が住宅ローンを利用する場合は、販売者は事前に建物を登記することが求められます。

不動産広告に住所の記載がない場合

不動産広告における物件の所在地表示は、公正競争規約施行規則に基づき、町名や地番による表示が義務付けられています。ただし、地番だけでは物件の正確な位置が不明確なことがあります。

広告に住所が掲載されている場合もありますが、もし掲載されていない場合は、不動産会社に直接問い合わせるなどして、物件の正確な住所を把握することが重要です。

(参考)不動産の表示に関する公正競争規約施行規則|不動産公正取引協議会連合会

まとめ

不動産取引では、正確な地番や家屋番号の把握が重要です。特に登記されていない建物の取引には注意しましょう。

事前に確認・登記を済ませ、安心して取引を進めることが大切です。

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